冬の寒さから犬や猫を守る方法と気をつけるべき病気について

犬も猫もふさふさの被毛に覆われていて、見るからに暖かそうです。実際に、寒さに強い子もいますが、逆に寒さに弱い子もたくさんいます。もし飼い主様が飼っている子が寒さに弱い犬種や猫種なら、しっかりと冬の寒さ対策をしましょう。

今回は冬に気をつけるべき犬猫の病気と、寒さ対策について解説していきます。

1冬の脅威〜犬編〜

犬は冬でも元気に走り回っているイメージが強いですが、それはあくまで昔の話。室内飼いが基本となった現代では、寒さに弱い犬も増えているのだとか。

ここでは犬にとっての冬の脅威について解説します。

1.1犬は寒さに弱い?

犬は毛皮も厚いですし、冬でも外で楽しそうに遊ぶため一見寒さに強そうに見えます。しかし、実際には種類や個体差に大きく左右されるため、犬によっては寒さにとても弱いという事も珍しくありません。自分の飼い犬が寒さに強い子かどうかは、育った環境や個々の体つきによって左右されますが、一般的には【毛皮の種類】によってある程度わかります。

犬の被毛には、皮膚を保護するためのオーバーコートと体を温めるためのアンダーコートの2種類があり、この両方の被毛を持っている犬種を【ダブルコート】といい、オーバーコートしか持っていない犬種を【シングルコート】と言います。当然、ダブルコートの方が寒さに強く、反対にシングルコートの犬は寒さに弱いです。他にも、大型犬や北国生まれの犬は寒さに強く、小型犬や南国生まれの犬は寒さに弱い傾向があります。

また、そもそも日本では犬であっても室内飼いが主流であり、外の影響を受けないため体温調節が上手くない個体も多く、たとえ寒さに強い犬種であっても部屋の隅で寒がっている様子をよく目にします。

1.2冬に気をつけるべき犬の病気

冬に特に多くなる犬の病気は【ウイルス性感染症】【泌尿器系の病気】【肥満】の3つ、順に見ていきましょう。

まずウイルス性感染症についてですが、これは冬に風邪やインフルエンザが流行る理由と同じです。空気が乾燥しているためウイルスが飛散しやすく、また喉や鼻の粘膜のバリア機能が低下しているため、細菌やウイルスに感染しやすくなります。特に犬はジステンパーなど呼吸器症状を示す危険な感染症もあるため、ワクチン接種を忘れずに受けさせましょう。

次に泌尿器系の病気ですが、これは水分不足によるもの。猫ほどではありませんが、冬は犬も水を飲む量が極端に減るため、膀胱炎や尿路結石などの病気にかかりやすいのです。常に水を飲める環境を用意し、食事はミネラル量が調節されたドックフードを与えましょう。また、外で排泄する習慣のある犬は、散歩できないと排尿ができずに膀胱炎になる可能性があります。日頃からトイレトレーニングをしておくと良いでしょう。

最後に肥満、これは病気ではありませんが万病の元とも言われています。冬はどうしても散歩を控え、運動量が少なくなって肥満になりがち。吹雪で外に出れない時のために、室内でもできる遊びを用意し、運動不足にならないように注意してください。

2冬の脅威〜猫編〜

猫は犬と違ってそもそも外に出る必要がないため、室内の環境さえ整っていれば犬ほど注意すべきことはありません。しかし、裏を返せば室内の環境と飼い主の対策次第では、尿路結石などの危険な病気にかかる可能性は考えられます。

ここでは猫にとっての冬の脅威について解説します。

2.1猫は寒さに弱い?

猫は室内飼いが基本なため、寒さに弱いというイメージが強いですが、実際には種類によります。ある程度の個体差はあるものの、ペルシャ猫などの長毛種は寒さに強く、マンチカンなどの短毛種は寒さに弱いとされています。また、若い猫や筋肉質な猫は代謝も良いため寒さに強いですが、逆に筋肉量の少ない子猫や老猫、運動嫌いの猫は寒さに敏感です。

元々猫は運動があまり好きではなく、意図的にトレーニングさせておかないと寒さに強いと言えるほどの筋肉質な猫にはなりません。猫の先祖が砂漠生まれなので、寒さに弱いのが普通なのかもしれませんね。

2.2冬に気をつけるべき猫の病気

寒さに弱い猫ですが、そもそも猫は散歩もしない室内飼いが基本であり、冬はコタツや日が当たる温かい場所にいるため、寒い事が由来の病気は少ない方です。ただし、【ウイルス性感染症】【泌尿器系の病気】は犬と同様に注意すべきでしょう。

特に尿路結石とそれに伴う尿道閉塞は猫の最も注意すべき病気の一つであり、冬は普段よりも更に水を飲まないため発生率があがると言われています。尿道閉塞は3日程度で尿毒症で死んでしまうため、意識的に水分補給をさせると共に、おしっこの際に痛そうにしていないか、尿の量や回数は正常かなどの確認は怠らないようにしてください。

また病気ではありませんが、去勢・避妊手術をしていない猫の場合、冬に2回目の発情期が到来することが多いです。発情期の間は気性が荒くなり、脱走、他の猫との交尾・ケンカなどの様々な問題行動が出てくるため、繁殖させる気がないのであれば冬になる前に手術した方が良いでしょう。

3冬の寒さから犬や猫を守る対策

犬や猫にとって、冬がどれだけ危険なのかは分かったと思います。しかし、飼い主様がしっかりとした寒さ対策をしていれば、ちゃんと元気に冬を越せます。

ここでは冬の寒さ対策について解説します。

3.1暖房器具は常時稼働させよう

最近は電気代やガス代が高くなり、節電のためにも暖房器具の使用をためらいがちですが、犬や猫の健康状態を考慮するのなら常時稼働させておく必要があります。室内飼いが主流となっている今、ペット達は体温調節が上手くできないからです。また床との距離が近い彼らは、廊下と部屋ですら寒暖差を感じるため、なるべく家全体の室温を調節させた方が良いでしょう。

最適な室温、湿度は個体差がありますが、犬は室温20℃前後で室温は40%〜60%、猫は室温21℃〜28℃で室温は同じく40%〜60%程度が良いとされています。ただし、その環境が本当に自分の飼っているペットにとって最適な環境である保証はありません。犬や猫が寒がっていないかどうかは常に確認し、様子次第で調節してください。

3.2暖かい毛布やブランケットを用意しよう

ペット用に暖かい毛布やブランケットなどで寝床を作っておくと、寒く感じた時には勝手に潜って暖を取ってくれます。また、毛布やブランケットは確かに暖かいですが、それだけでは床からの冷気を防げないので、できれば床に敷けるマットタイプも用意しておきましょう。

因みに、犬や寂しがりの猫がいる時は、毛布等に飼い主の匂いを付けておくとペットたちが安心してくれます。お留守番させなければいけないときなど、1匹でも安心して待っていてくれますよ。

3.3暖房器具の注意点

ストーブやコタツは部屋を暖め、ペットたちの憩いの場所になってくれますが、一方で火傷の危険性もあります。でも、私達は熱かったらすぐにストーブやコタツから離れるのに、なぜ彼らは火傷するまでそこにいるのでしょうか?その答えはあのふさふさの被毛にあるのです。

被毛は寒さから身を守ってくれる反面、熱さが皮膚に伝わりづらい欠点も持ち合わせています。そのためペット本人も気が付かずにじわじわと暖房器具の熱にやられ、結果として低温火傷になってしまうのです。

厄介なのは被毛があるために皮膚の異変に飼い主も気が付かないこと。知らず知らずのうちに重症化していることもあるため、熱源との距離を調整させたり、こまめに被毛をかき分けて皮膚の様子をチェックしておきましょう。また、ストーブをつける際は囲いなどで近くに近寄れないようにしておく事も大切です。

3.4散歩する時は準備を怠らないように(犬)

冬は寒いですし、犬もあまり散歩に行きたがらない事もあるでしょう。しかし、犬の健康を考えると、散歩しない=運動量の低下は体調を悪くさせたり肥満の原因となってしまうため、可能な限り毎日散歩させた方が良いです。しっかりとした準備をしておけば、冬の散歩も問題なくできますよ。

必要なのは【服】と【準備運動】、【帰ったあとのケア】です。ペットショップやホームセンターには犬用のセーターやダウンジャケットが売っているので、寒さに弱い犬なら購入しておきましょう。雨天時は体調を見つつではありますが、レインコートと長靴を着用すれば大丈夫です。

服を着させたらさあ散歩!といきたいところですが、その前に玄関で軽く準備運動をさせて身体を暖めておきましょう。急に寒い外に出ると、温度差で体調を崩したり、気管支を痛めてしまう恐れがあります。

散歩から帰った後はタオルで濡れた身体を拭き、ドライヤーでしっかりと乾かしてあげましょう。また鼻や肉球は乾燥しやすいので、クリームやジェルで保湿してあげる事も大切です。

寒い日でも、この3つを守れば元気に散歩できますよ。ただし、あくまで犬の体調次第ということは忘れずに、散歩中でも気分が悪そうなら帰宅しましょう。

3.5水分補給はしっかりさせよう!(猫)

猫は尿路結石になりやすいとは先程解説しましたが、その原因は水分不足によるものが大きいです。猫は元々砂漠生まれなためか、少ない水分で活動できるように腎臓の機能が発達していると言われていますが、そのせいで負担も大きい。結果、水を飲みたがらないし尿路結石になりやすいという状態になったという事ですね。

特に気温が低い冬は、飼い主が対策をしない限り、ほとんど水を飲まないといっていいでしょう。含水率が高いウェットフードを中心に与える、水場を増やす、寒い場所にトイレを設置しないなど、少しでも水を飲んでおしっこさせるように環境を整えるようにしてください。

4冬は動物にとって最も過酷な季節

私達は暖房がしっかり効いた室内で暖かい食事をするのが当たり前なため、冬の怖さをとかく忘れがちです。本来は越冬するために大抵の動物は脂肪を蓄え、ある動物は冬眠し、ある動物は天敵がいないうちに食べ物を揃え、それでも冬を越せずに死んでしまう動物も多い……それが冬です。

犬も猫も、人間に飼われる事が当たり前になっているとはいえ、その危険性は本能で感じています。脂肪を貯めるために運動を避け、暖房があるとそこで暖を取り、昼寝の時間も伸びる傾向が強いです。そのせいで病気や肥満の危険があるというのは、なんとも難しい問題ですね。

だからこそ、飼い主がしっかり対策をする必要があります。今回解説した事をしっかり覚え、冬に向けてしっかり準備しておきましょう。

想花コラム