近年、ペットの高寿命化や飼い主の意識の変化などの理由からペット保険の需要が加速的に増してきています。もしかしたら、この記事を見ている皆様の中には既に加入している人もいるかもしれませんね。しかし、あまりに急激に数を増したせいか、【お金が貰えない】【請求方法が分からない】などのトラブルになったというケースも度々報告されています。そのせいでペット保険に加入する事を躊躇っている方も少なくないでしょう。
加入するにせよしないにせよ、ちゃんとした知識を身に着けた上で判断する事で、後のトラブルを防ぐことができます。今回はペット保険の重要性と共に、請求方法やよくあるトラブルについてお話していきます。
目次
ペット保険が必要だと思う3つの要因
ペット保険は掛け捨てタイプと言って、掛けたお金が戻ってこない方法を取っている事が多いです。それに加えて、【保険は元気な時は無駄金】という欠点も相まってペット保険は必要ないと考える方も少なくありません。しかし、近年のペット事情や保険会社の発展を考えるとむしろペット保険は必要だと思える要因がいくつかあるのも事実です。
ここでは、ペット保険が必要だと思う要因について3つほどご紹介していきます。
ペットの高寿命化
冒頭でもお話したように、近年になってからペットの高寿命化が嬉しいニュースになってきています。大切なペットが長生きしてくれる、飼い主にとってこれ以上幸せなことはないでしょう。
しかし一方で、【高齢化による病気のリスク】も無視できない課題となってきているのも事実です。認知症や糖尿病、ガンなどの高齢期の病気の代表とも呼べるものは言わずもがな、骨折や関節異常などの外傷のリスクも年齢とともに高まっていきます。
特に外傷は些細な怪我でも、細菌の侵入を防ぐために病院で診察、治療しなければならず、その度に医療費もかさんでいきます。ペットが保険に加入していない場合、1年でかかる医療費はバカにならないほど高額になることだってあるでしょう。
これらはある程度なら若い時の訓練や老後の介護で防止できますが、それも100%ではありません。正直なところ、五体満足で病気にもならずに天寿を全うする事なんて不可能でしょう。生きている限り、そういったリスクとは向き合うことになります。そして、それは年を取れば取るほどより深刻な問題になっていくのです。
医療技術の発展による高額な料金
医療技術というのは年々新しく、より効果の高いものへと進化してきました。それ自体は朗報ではありますが、同時に高額な料金を支払う必要も出てきており、動物病院も例外ではなくなりました。というより、より特化した手術が可能になった事で医療費の高騰が避けられなくなってきたという方が正しいでしょうか?
より良いものはより高く……という図式が出来上がっている以上、ある程度は医療費の覚悟もしなくてはいけません。それに加えて、ペットの高寿命化による課題も拍車をかけています。【高額な医療費を払って良い治療を→長く生きる→高齢化特有の病気が】という流れが基本となっているわけですね。
ペットが長生きしてくれるように良い治療を、ペットが長生きできるようにペット保険を、これがペット保険の需要が増している大きな理由です。
加入特典や付帯サービスの増加
ペット保険に限らず、高額なものであったり継続的にお金を支払う必要があるものは少しでもお得になるように加入特典や付帯サービスを設ける事が多いです。ペット保険も近年の需要の増加に伴ってか、以前よりも豪華な特典やサービスが増えています。
よく見かけるもので言えば【健康相談サービス】【賠償責任特約】※1【多頭割引】などがあります。特に健康相談サービスは比較的気軽に電話できるということで採用している会社も多く、また飼い主様からも一定の需要があるようです。加入特典や付帯サービスが全てではありませんが、「せっかくなら……」と加入に踏み切るキッカケになるのも事実です。
今後は加入することによる【ペット保険】以外でのメリットも一緒に検討しておくと、より納得の行く保険を選べそうですね。
ペット保険からお金が入る流れ
人間はそもそもなんらかの健康保険に加入しなければならず、そういった強制加入の保険は特に請求をする必要もありません。病院で診察し、保険証を見せればそれだけで負担額が差し引かれます。しかし、ペット保険はちゃんと申請をしなければお金がもらえない場合があります。加入しているのに、申請の仕方がわからない……なんてことにならないようにしましょう。
ここでは、ペット保険からお金が入るまでの過程や申請方法について解説します。
ペット保険が対応している補償内容
ペット保険は全ての怪我、病気に対応しているわけではありません。ガンやヘルニアなど重い病気や発症率の高い病気に関してはほぼ対応されていますが、逆に発症率の低い病気は対象外になることもままあります。その場合は申請してもお金がもらえないため、予め公式サイトや各書類で確認しておきましょう。
病院で差額のみを支払うケース
ペット保険が提携(対応)している病院の場合は動物用の健康保険証(以下保険証)を提示することで、診察費から補償額を引いた差額のみ支払うことになります。あとは病院側が保険会社から残りの分を請求するため、飼い主様は各種書類の記入及び提出などの手続きはしなくて結構です。ただし、本人確認等の都合で保険会社が連絡してくることがあります。
ただし、保険証を忘れた場合や有効性を確認できなかった場合はその場で全額を支払い、その後、保険会社に改めて請求することになります。有効性の確認は会社によって多少異なりますが、【保険会社側で保険料の入金が確認されない】【同日内で複数回通院した時の2回目以降】【免責期間がまだ過ぎていない】場合は有効性が認められないことが多いです。
病院で全額を支払った後に保険会社から請求するケース
ペット保険が提携していない病院の場合は一旦その場で全額支払った後に保険会社に請求することになります。そのため、保険金請求書類を記載及び保険会社に郵送する必要があります。なにもしないままだと保険金は降りてきませんのでご注意ください。請求する際に必要な書類は会社によって異なりますが、概ね下記の2点です。
・保険金請求書
証券番号、ペット名、保険金の請求者の情報、傷病の内容(診断名や病院名、経緯など)を記載する書類。主にマイページ(ペット保険による)、保険会社からの郵送などで入手します。
・診療明細書(原本)
被保険者名、ペット名、動物病院の情報、診察日、診療項目及びその料金が記載されている書類。動物病院にて発行されます。もし動物病院で発行を行っていない場合、保険会社に連絡することで明細書を郵送してもらい、動物病院に記載を依頼することになります。
ペット保険でお金が貰えない?よくあるケースを紹介
ペット保険はいざというときに便利ではあるものの、必ずお金がもらえるというものではありません。もちろん大抵の場合にはちゃんと貰えますが、規定事項や保証の対象外の傷病などの理由から保険金が降りない時があるのです。これらの事は予め書類や口頭などで通知されるものの、気づかないままの人も少なからずいます。
ここでは保険金が降りない場合に考えられるケースについて解説します。
補償対象外の病気や怪我
これが一番よくある事例でしょう。単純に補償対象外の病気や怪我だった場合は申請してもお金が降りません。対象外になる病気は保険会社や保険プランによって変わりますが、
・狂犬病、パラインフルエンザ感染症、コロナウイルス感染症、ウイルス性鼻気管などのワクチン接種によって感染を防げる病気。
・保険に加入する以前からかかっていた病気や怪我(先天性のものを含む)
・正常な妊娠及び出産、帝王切開、流産やそれによって生じた症状等
・去勢避妊手術
・歯石取り、歯切り、爪切りなどのケア
これらは補償対象外になる事が多いです。これ以外にも対象外になることはありますので、契約する前に必ずパンフレットや公式ホームページ等で確認しておきましょう。また、対象外であっても特約などによって別途保険をかけられるケースもありますので、こちらも合わせて参考材料にするのも手です。
免責期間中はお金が貰えない
ペット保険は大抵の場合、加入直後は申請してもお金が貰えないようになっています。この期間のことを免責期間と言い、
・保険金目的で不正に申請できないようにする
・報告漏れを防ぐために用意されています
・保険加入前に潜伏しているかもしれない病気を考慮する
という目的があります。というのもペット保険は【健康なペットが加入すること】を前提に、加入時点での病気(潜伏しているものも含む)や怪我については補償しないためです。免責期間は会社によって異なり、大体は30日前後ですが、病気や怪我ごとに細かい期間を設定している場合もあります。予めパンフレットやホームページなどで確認しておきましょう。
その他のケース
意外とよくある事例として、年間の補償金限度額に達してしまっていたというもの。普段から小さな怪我や病気でも動物病院に通わせている方は特に限度額に引っかかりやすいでしょう。こちらは会員のマイページなどで確認できる事が多いので、少し使いすぎたなと思ったタイミングで1度確認しておくのが無難です。
保険プランによっては最低支払額というのが定められています。これはその名の通り、一定額以下の支払いの場合は保険が適用されないというもの。日常生活の細々として通院などでは条件を満たせない事もあるため、契約する前に条件の確認は忘れないようにしましょう。
健康食品や医薬部外品、シャンプー剤などの治療費以外の費用についても保険金が降りない場合があります。こちらは言ってしまえば傷病に含まれないために適用されないということですね。同じ理由でマイクロチップの埋込費用なども保険金が降りないことがあります。ただしこれらは特約や付帯サービスなどで対応できるプランもあります。
最後に自然災害によるもの。地震や噴火、それによって起きる風水害などによって生じた傷病に関しては適用外になることが多いです。
ペット保険を正しく理解しよう!
ペット保険はうまく知識を身につければ非常に有用なものです。特にこれからの時代、ペットの老後の健康や不意の病気や怪我に備える事でより長生きできるようになってきます。健康体ならお金の無駄……ではなく、もしもの時に頼りになるから加入しておこうという意識が大切なのです。
一方で事前知識や書類を確認しないままでいると、申請方法が分からないあまり保険金の受取ができなかったり、補償対象外だっただけなのに「お金が降りない無駄なもの」と捉えるのうになってしまいます。お金をかけるサービスである以上、損にならないようにしっかりと保険について学んでいきましょう。
また、付帯サービスや特約にもちゃんと目を向ける事も重要です。最近はより豪華なものや使い勝手の良いものが増えてきていますので、そちら目当てで好きな保険に加入することも選択の一つとなっています。
今回の記事ではこれらについて総合的に解説してきました。皆様にとって有意義な知識となっていたのであれば幸いです。