【横浜市での対応も記載】路上で動物の死骸を発見した場合の対応

路上で動物の死骸を見かけた、こういったお話はよく聞きます。日本は自然豊かな国ですし、野生動物もその分多いですから。道路で亡くなっているということは、きっと交通事故……つまり人による事故でしょう。こういったケースの場合、本来はしかるべき処置をしなければいけません。

なるべくなら死骸なんて触りたくない、見て見ぬふりをしたい、そういった気持ちもよく分かります。しかし、そのままにしておくと2次被害を招く恐れがありますし、なにより亡くなった動物が不憫です。それに、もし自分が轢いてしまった時は……そう考えると不安になりますよね。

今回は道路で動物の死骸を発見した場合、動物を轢いてしまった場合、自分のペットが車に轢かれてしまった場合の3ケースについて、対応の方法を解説していきます。ケース1については、横浜市での対応も記載していますので、ぜひ覚えていってください。

1路上で動物の死骸を発見した場合

道路というのは便利な反面、視点を変えれば全身凶器の車が行き交う危険な側面も持ち合わせています。時には動物がその被害にあってしまう事もあるでしょう。そんな時、私たちはどのようにすればいいのでしょうか?

ここでは路上で動物の死骸を発見した場合について解説します。

1.1道路の管理者に連絡する

道路上に動物の死骸を発見した場合、扱い的には進行不能または道路が酷く汚れているという状態になるため、道路の管理者に連絡することで対応してくれます。道路の管理者は各道路によって異なり、高速道路及び国道の指定区間は国土交通省が、国道の指定区間外及び都道府県道は各都道府県が、市町村道は各市町村が管理しています。

連絡する場合は、【道路で死骸を発見した旨を伝える】【発見した場所を伝える】ようにしましょう。特に場所は、なるべく正確な場所を伝える事が早急な対処に繋がります。

1.2道路緊急ダイヤルに連絡する

上記の通り、基本的には道路の管理者に連絡する事になっていますが、道路の種類やどこの管轄かなんて普通は把握していませんよね?その場合は道路緊急ダイヤル(♯9910)に連絡しましょう。音声ガイドに従って通報するだけで、その道路の管理者に連絡できます。また道路緊急ダイヤルは24時間対応しているため、時間に関係なく通報できますのでご安心ください。

道路緊急ダイヤルは動物の死骸の対応だけでなく、路面に穴が開いている、落下物が落ちているなど道路の異常全般に対応しています。【道路で(に)何かあった】場合はここに連絡する事で解決できるため、合わせて覚えておきましょう。

1.3野生動物が自然の中で弱っていたら

今回はあくまで道路上で動物の死骸があった場合を想定していますが、もし野生の動物が弱っていたら……どのような対応をすればいいのでしょうか?特に野鳥が弱っている姿はよく見かけます。答えは【原則放置、どうしても保護したい場合は救護施設に連絡する】です。

というのも、動物が弱っている原因によるところが大きいため。自然の中で生きる野生動物が、自然の中で死んでいくのなら、それが摂理です。そして死んだ動物はやがて他の動物の餌となって命を繋ぎ、その動物もやがて死んでいき……を繰り返します。そこに人間がエゴのみで干渉すべきではありません。

ただし、人の手によってケガをした場合は別です。人為的なケガ……すなわち自然の摂理に反しているため、保護をして元気になったら自然に帰す方が適切でしょう。人為的なものなのか、それとも自然によるものなのか、よく判断した上で決断してください。

1.4横浜市の対応

横浜市で路上、もしくは空き地で動物の死骸を発見した場合、各区にある資源循環事務所に連絡することで無料で収集してくれます。収集は原則当日中に行ってくれますが、件数が多い場合や連絡時間が遅い場合は翌日以降の収集になります。

2自分で動物を轢いてしまった場合

車を操縦していると、突然ドカンと何かに当たり、ふと確認してみると動物が倒れていた……考えただけで恐ろしいですが、こういった事態がない訳ではありません。この場合、報告しないと立派な犯罪となりますので、しっかり方法を覚えておきましょう。

ここでは自分で動物を轢いてしまった場合の方法について解説します。

2.1警察に連絡する

動物を轢いてしまった場合は【ロードキル】と言い、分類上は交通事故に該当します。具体的には、道路交通法第67条2項に記載されている【車両等の交通による人の死傷若しくは物の損壊】に定義され、動物の場合は物の損壊に入ります。連絡及び手続きを怠った場合、危険防止等処義務違反……いわゆる当て逃げになってしまい、違反点数と罰金が課せられます。

ここで、「実際に路上で動物が死んでいるのに誰も連絡しないのはなぜ?」と疑問に思う人もいるでしょう。確かに、路上で死んでいるということは、ほぼ車に轢かれているはず。それなのになぜ警察が来ないのでしょうか。

これはハッキリ言ってモラルの問題です。誰かのペットならともかく、野生動物の場合は誰も訴えたりできませんし、人の被害者もいません。つまり、当事者が連絡しない限り【なぜか路上に動物の死骸がある】というだけなのです。

もちろん、連絡しないことは例え誰が言わなくても法律違反ですし、なにより2次被害の原因にもなります。もし貴方が動物を轢いてしまった場合は、より多くの被害を出さないためにも、恐れずに警察に連絡してください。

2.2道路緊急ダイヤルに連絡する

警察に連絡することは上記の通りですが、それと合わせて道路緊急ダイヤルにも連絡を入れましょう。動物を轢いてしまった時点で、前項の【進行不能及び道路状態の異常】に当たります。

動物の死骸が車の通り道にある場合は路肩に寄せ、2次被害を防止するよう努めてください。ただし、衛生面の観点から素手で触らずタオルや手袋を使用しましょう。また、交通量が多い場合は危険ですので、無理をする必要はありません。

2.3まだ息がある場合

もしまだ動物が生きている場合は、可能な限り保護して動物病院や保護施設に運んでください。治療費はドライバーの負担にはなりますが、施設によっては野生動物のみ無料で治療してくれる所もあります。

3自分のペットを轢かれてしまった場合

大切なペットが車に轢かれた……想像もしたくない事ですが、外に出る以上はこういった事がないとは言い切れません。もしこのような惨事に見舞われた時、飼い主ができることは何でしょうか?

ここでは自分のペットが轢かれてしまった場合の処置と対応について解説します。

3.1ペットは法律上モノとして扱われる

まず法律上の定義として、ペットは【物】として扱われますので、この場合は物損事故に該当します。従って、飼い主に被害がない場合は自動車や物が壊れた場合と同じ処置が取られると思っていただいて大丈夫です。飼い主としては、ペットは物ではなく大切な家族であることは重々承知ですが、少なくとも法律ではこのような処置となります。

さて、では物損事故における損害賠償はどのような扱いになるのでしょうか。この場合は【壊してしまった物を元通りにするための費用】損害賠償として請求できます。すなわち、ケガした場合は治療費を、亡くなった場合はペットの価格に応じた財産的損害の補填及び埋葬費用を請求できるということです。

ただし、生命は物と同様に考えるべきではないと判断される事もあり、その場合は上記以上の額を請求できる場合もあります。あくまで絶対ではないので、こういったケースもあるとだけ覚えておきましょう。

3.2慰謝料は原則認められない

法律上の定義として、物損事故による慰謝料の請求は原則認められません。従って、ペットが轢かれた場合も基本的には慰謝料の請求ができません。ただし、【飼い主が多大な精神的苦痛を伴った】と判断されれば、例外的に慰謝料の請求が認められます。

例えば、実際に起こった裁判では、過去に大阪の裁判で10万円が慰謝料として認められました。また名古屋でも、過去に飼い主2人が精神的苦痛を伴ったとして各々に20万円の慰謝料が認定されています。

ここで重要となるのは、【ペットが死んだ】から慰謝料が認めれられるのではなく、ペットが死んだことによる【精神的苦痛が大きい】ために慰謝料が認めれられたということ。このことから、原則では慰謝料を請求できないという事実に変わりはなく、これらはあくまで例外中の例外と言えます。

3.3逆に損害賠償を求められるケース

「そんなバカな!」と思われる人もいるかもしれませんが、飼い主側の過失による物損事故が認められた場合は、逆に損害賠償を支払う事もあります。例えば、自動車同士の衝突の場合でも、過失割合によって双方が賠償金を支払う事がありますが、それと同様です。

そもそもペットを屋外に連れ出している時は、飼い主はペットを管理する責任があります。この管理が怠っていると判断された場合、飼い主側にも非があると見なされるのです。リードを装着していない、リードを手放した、ペットを見ていなかったなどが該当します。

余程の事がない限り、損害割合が飼い主側に偏る事はないですが、それでも3割程度は責任があるとされる事が多いです。

4動物も一つの命

法律の分類上は物であったとしても、動物は生きている一つの命であることに変わりはありません。人の手によって失った動物の命は、人間が責任を持って弔うべきです。法律だから、ルールだからではなく、同じ生き物として敬意を忘れずに対応に当たりましょう。

一方、ペットが車に轢かれてしまった場合は残念ながら飼い主にとって不服な結末に終わる事も少なくありません。訴えようにも、慰謝料は請求できることは稀、損害賠償も人間の場合より少なくなります。多くの場合、得たお金よりも弁護士費用等で失うお金の方が多くなりがちです。

しかし、近年ではペットは家族として愛されるべきであり、その喪失は多大な精神的苦痛を伴うことであると裁判でも認められるようになってきています。人間と同様とまではいかずとも、飼い主に責任がない場合はちゃんと飼い主もペットも報われるようになって欲しいと願うばかりですね。

想花コラム