ペットロス症候群とはどんな病気?カウンセラーが必要って本当?

【貴方にとってペットとはどういう存在ですか?】と尋ねられたら、飼い主の皆様はどう答えますか?人によって癒やし、相棒、家族みたいな存在など言葉こそ違えど、ほとんどの人にとって唯一無二の大切な存在だと答えるかと思います。

昔のペットの立ち位置は番犬に代表されるように使役動物としての扱い方が主流でしたが、1980年代後半に第一次ペットブームが始まったと同時に【ペットも家族】という認識が広まっていきました。しかし同時に、その大切なペットを失った時の精神的ダメージも愛情に比例して大きくなり、ペットロス症候群という言葉まで生まれました。

一部ではまだまだペットロスについての認識が浅い昨今、皆様はどのように思いますか?今回はペットロス症候群について、およびペットロスの治療にカウンセラーは必要なのかについて解説していきます。

ペットロス症候群とは?

ペットロス症候群……確かによく耳にはしますが、その実態まではあまり知られていません。具体的な症状やなりやすい人、どういった定義でペットロス症候群と認められるかなど、まずはペットロスについての基礎知識について学んでいきましょう。

ここではペットロス症候群とはなにかについて解説します。

ペットロス症候群という疾患について

ペットロス症候群とは別名ペットロスとも呼ばれており、長い時間を共に過ごしたペットとのお別れによる喪失感や悲しみによる精神的ダメージによって心身に不調をきたす疾患のことです。日本では未だ完全に認知されているとは言い難いですが、海外では広く認知されています。

特にメジャーかつ感情表現が分かりやすい犬や猫を飼っている人に多く、有名人ではタレントの杉本彩さんや中川翔子さんもペットロスを発症していたのではと言われています。多忙な人生を送っている人にとって、ペットという存在は一つの居場所とも表現できるほど大きくなっているのでしょう。

かつてはうつ病などがそうであったように、こういった疾患は往々にして「甘えだ」と周りから非難されることも少なくなく、気軽に相談できる相手がいないと悩み苦しんでいる人も多いのが現状です。もし自分がペットロス症候群ではないかと心当たりのある人は無理をせずに心療内科に行きましょう。

ペットロス症候群の症状

ペットロス症候群と認められる基準は診る人によって異なりますが、概ね【6ヶ月以上もの間強い症状がある】【喪失感や悲しみなどの感情が身体的苦痛より強い】【日常生活に支障が出ている】の3点が重要視されています。あくまで長期間にわたって症状が出ている場合にのみペットロスと認められ、短期間であれば精神の防衛反応として正常だと判断される事が多いです。

症状としては下記のように身体的にも精神的にも様々な不調が現れます。

〜ペットロス症候群のよくある症状〜

【うう病】【不眠】【無気力】【拒食症】【過食症】

【攻撃性が高くなる】【幻覚症状】【身体の節々の痛み】【頭痛】

ペットロス症候群になりやすい人とは?

ペットロス症候群は今までの愛情がダメージとして現れるものであり、そういった意味では【ペットを深く愛していた】人が発症しやすいと言えます。具体的には、一人暮らしで話し相手がペットだった、家族の一員として接していた、誰かと会う度にペットを自慢していたような人が該当します。

更に当人の性格によっても発症しやすさが変わってきます。責任感の強い人や後悔しやすい人は「あの時別の医者に診てもらっていたら助かったかも」、「もっと一緒にいてあげれば良かった」といった思考に陥りやすく、そのような絶望感や迷いから重度のペットロスになってしまう可能性が高いです。

また別れ方によっても違うでしょう。ペットが天珠を全うし、穏やかに眠るように死んでいく場合と事故で急死してしまった場合では当然ながら後者の方が精神的ダメージは大きいです。

ペットロスにカウンセリングは効果あるのか?

ペットロスは心身共に不調をきたす危険な疾患であり、また本人の意思次第で完治する期間も症状の重さもまったく異なってきます。そんな疾患だからこそ【カウンセリング】という行為が本当に役に立つのか心配になる人も多いでしょう。特に日本においてはカウンセラー=怪しい集団という認識を持っている人は少なくありません。

ここではペットロスにおけるカウンセラーの重要性とカウンセリングの内容について解説します。

そもそもカウンセラーって?

カウンセラーとは臨床心理学※1を用いて、依頼主(患者)の悩みを一緒に解決していくことで心の病を治していくのが仕事の人たちのことです。有名なところではスクールカウンセラーがイメージしやすいでしょう。ただし、外科手術などと違って実感しやすい成果がないためか、悪質な詐欺が横行しやすい職業でもあります。

本来カウンセラーはちゃんとした養成課程を突破し、その中で養ってきた技術を用いて仕事をする人たちです。しかし、詐欺集団はただ依頼主にとって都合の良いことしか言わず、解決しようとはしないで巧みに高額商品を購入させるように誘導してきます。

もしカウンセリングを受けたい場合は公認心理師や臨床心理士、日本学術会議がしている学術研究団が認定している資格など信頼できる資格を取得している人を選びましょう。

※1 心身症や精神疾患について援助や予防、及び回復の方法を学ぶことを目的にした心理学の一つ。

なぜカウンセラーを選ぶ必要があるのか

カウンセラーはただ悩みを聞くだけの人という認識をされがちで、人によっては「それだけなら友達に相談するのと変わらないのでは?」と思うことでしょう。しかし、カウンセラーのお仕事は悩みを聞くことではなく、【心理学を用いて相談者の悩みを一緒に解決できるように導く】ことです。

技術的な側面ももちろんですが、なにより重要なのは意識の差です。ペットロス症候群はなってみないと分からない疾患であり、かつてうつ病の認識がそうであったように第三者の目線は未だ軽く見られがち。たとえ気の合う友人だったとしても、【自分の気持ちを理解し、一緒に悩みについて考え、心の奥に潜んでいる気づきを見つけ出し、解決する】というプロセスを完璧に遂げることはできないでしょう。増して深い関係であれば、そこ余計な感情が入ってきてしまいます。

カウンセリングとは立派な仕事であり、そのようなプロセスを完遂させるのはカウンセラーでなくてはとても難しいもの。だからこそ、カウンセリングという選択肢を持つことが重要なのです。

カウンセリングの内容

カウンセリングは依頼主との対談と心理テストが主になってきます。一見すると難しいようにも思えますが、依頼主側はただカウンセラーとお話をするくらいの気持ちで構いません。むしろ素直な気持ちをぶつけることで自分の中の感情を整理したり、悩みを解決できるものなのです。ただし注意してほしいのは【カウンセリングは時間がかかるもの】だと認識しておくこと。

というのもカウンセリングは基本的に【依頼主との信頼関係を構築する】【より深い内容について話し合う】【問題解決したあとの今後について話し合う】という3つの段階を踏んでいくからです。私生活がある都合上、どうしても焦りがちになりますが、落ち着いてゆっくりと自分の心をカウンセラーの協力のもと探っていくことが問題解決に繋がることは覚えておきましょう。

カウンセリングを利用する際の注意点

カウンセリングは自分の心を探る都合上、決して気持ちの良いものではありません。むしろ、自分の汚いところや認めたくない部分を見せつけられることも多く、逃げ出してしまう人やカウンセラーを替えてしまう人も少なくありません。しかし、もしそのようなことをしてしまったら問題の解決にはなりませんし、最悪の場合「誰も自分を分かってくれない」という思考になってしまって、ペットロスを治すことがより困難になることも考えられます。

心の病を持つ人がまったくの他人を信じきることは難しいでしょう。しかし、何も難しいことは考えず、カウンセラーと仲良くなって悩みを相談するという感覚でいることが大切なのも事実です。そういった暗い部分さえもカウンセラーにぶつけてやるくらいの気持ちでカウンセリングを受けましょう。

もし自分がペットロスになったら

ペットロス症候群について学んできたところで、「もしかしたら自分がそんな状況なのかも?」と思った人もいるかと思います。そこで、今度は少し目線を変えて自分がペットロスになった時に自分ができることについて見ていきましょう。

ここでは自分がペットロスになった時に自分でできることについて解説します。

ペットロスを理由に有給は取れるのか?

結論から申し上げますと有給を取ることはできます。というよりも、有給はそもそも取得理由を話す義務はありません。極端な話、「諸事情でお休みをいただきます」でも全然問題ありません。もしペットロスを理由に有給を取りたい場合は諸事情で通してもいいですし、長期に渡る場合は体調不調でも構いません。

ただし、業務に支障をきたす場合は会社の権限で取得時期をずらされることもあります。

趣味に没頭する

ペットロス症候群にかかる人の中でも比較的回復が早い人たちに共通して言えるのは自分の趣味を持っていることです。ペットロスに限らず、趣味に没頭することはストレス解消になりますし、気分転換にもなるため、憂鬱な気分や悲しい気分を吹き飛ばすのに効果的です、

可能であれば身体を動かす趣味がおすすめですが、映画鑑賞や読書でも構いません。時間を忘れるほどの趣味があれば、何も気にせず没頭できる時間を作りましょう。

ペットロス症候群は本当に甘えなのか?

ペットロス症候群はかかったことのない人には想像できないほど危険な状態です。しかし、一方でその喪失感はペットを愛していた証であり、その感情そのものは誇ってもいい感情です。とても愛していたからこそ苦しいのであって、愛情がなければペットロスを発症してはいなかったでしょう。

ペットロス症候群は甘えなどではありません。ペットを心から愛することができる優しい飼い主だからこそ簡単には治せない傷を負ってしまっただけなのです。カウンセラーと一緒に、あせらずゆっくりと自分の心を癒やしていきましょう。

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